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ローマ帝国公認とその影響

 
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若井 和生師
若井和生牧師:飯能キリスト聖園教会牧師 この記事は、サイト管理者(solomonyk)の責任において、毎聖日ごとの礼拝メッセージを書き起こし、師の許可を得て掲載しております。

飯能キリスト聖園教会教会史の学び3(若井和生師)

1. コンスタンチヌス帝のキリスト教公認

コンスタンチヌスの回心

・312年、コンスタンチヌスは対立皇帝マクセンティウスとの戦いで「空中の十字架のしるし」の幻を見て勝利をおさめる。
・キリスト教に働く超自然的な力に期待した。
・313年、ミラノ勅令を発してキリスト教を公認し、礼拝の自由を認める。
・その一方で不道徳な行い、異教への礼拝が止むこともなかつた。
・臨終の床で洗礼を受ける。

キリスト教公認の背景

・ローマ帝国の弱体化が顕著になる。
・迫害に屈しない教会の多大な影響力を無視できない。
・力で滅ぼすことのできないキリスト教を、帝国の保持と発展のために利用しようとした。

 コンスタンチヌスの政策

・モットーは「一つの帝国、一つの教会」。
・「新しいローマ」としてのコンスタンチノポリス(現在のイスタンブール)を建設。(→東ローマ帝国の中心としてその後発展)
・迫害の停止、教会財産の返還、教会建築の容認、公会議の召集、日曜日を休日に、硬貨や軍旗にキリスト教のシンボルを描く、12月25日をクリスマスに制定、マリヤ崇拝を容認…。

コンスタンチヌスの教会に対する影響

・迫害が終了した。
・帝国の権威を神学的に意味づける「公神学」が誕生した。(教会史家エウセビウスは、コンスタンチヌスを「神の聖なる道具」と絶賛した。)
・国家と教会の癒着が始まつた。(国家が教会の組織、礼拝、霊的な面などに干渉、教会も自らの正統性の証明を国家に期待)
・修道院運動が誕生した。
・国家教会からの分派が生じた。
・多くの信徒は、新しい事態に完全な拒絶でも完全な受容でもなく対応した。

その後の展開

・背教者ユリアヌス帝の登場によつて政策は一歩後退。ただし在位は短期間。
・380年、テオドシウス帝がキリスト教を国教化。キリスト教はローマの国家宗教となる。
・391年、異教の神殿を閉鎖し、儀式を禁止した。

背教者ユリアヌスをどのように評価するか

・「背教者」との名称はキリスト教徒たちが名づけたもの。キリスト教徒たちのユリアヌスに対する憎しみは激しかつた。
・帝国公認後、ユリアヌスは異教の完全復興と、キリスト教を規制する政策を実行した。
・ユリアヌスはコンスタンチヌスの親戚にあたる人物。コンスタンチヌスは自分の二人の息子以外の親族のほとんどを殺害した。ユリアヌスの家族も殺される。
・背景として、長い問迫害されてきたキリスト教徒たちが、帝国公認後は逆に異教徒たちを迫害するという事態が起きていた。
・ユリアヌスはペルシアとの戦いによつて戦死。即位期間はわずか2年あまり。ユリアヌスの死をキリスト教徒たちは「神罰」と解した。
・キリスト教徒たちが指導者、為政者を蹟かせた最初の例と見ることができる。

国家教会からの分派運動をどう評価するか

・教会の世俗化にともなって多くの分派が誕生した。その内の最大のものはドナトゥス派と呼ばれるグループだつた。
・棄教者の教会復帰問題がきつかけとなつた。棄教したものの復帰を認めない一方で、迫害下にあつて信仰を守り通した者は「聖証者」として特別な存在と見なされた。対立は特に北アフリカ地方で深刻化した。
・神学的対立の背景に政治的、社会的、経済的な対立があった。
・ローマ帝国による軍事力による制圧がなされた。
・当時の混乱した教会の様子が感じられる。教会は教会内の問題解決のために国家権力に頼らざるを得ない事態。問題はいよいよ混迷化していくことになつた。

 キリスト教国教化の功罪

(功=ローマのキリスト教化)
・迫害と殉教が止み、礼拝と伝道の自由が保障され、奨励された。
・社会の道徳水準が高まつた。聖書の教えが道徳の基準になつた。
・奴隷の地位が向上した。
・ゲルマン民族への伝道が本格化した。(ヨーロッパ世界の形成に多大な影響を与えた)

(罪=キリスト教のローマ化〉
・教会の世俗化、霊的水準の低下を促進した。
・終末意識が薄らぎ、教会を通して今実現している神の国が強調されるようになつた。伝道意欲の低下につながつた。
・国家が教会に干渉するようになつた。これ以後、教会と国家の主導権争いが激化していくことに。

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