神殿を建てる知恵と奉仕の心 Ⅰ列王記7章13~37節
Ⅰ.文脈:神殿建設の流れ
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6章:神殿本体の建設。
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7章1~12節:ソロモン宮殿の建設。
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7章13節以降:再び神殿建設の記事へ戻る。
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神殿建設が全体の中心テーマであり、ソロモンの政治・生活も礼拝(神殿)の文脈の中に置かれている。
Ⅱ.職人ヒラムの人物像
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出身:母はナフタリ族のやもめ、父はツロ人の青銅職人(異邦人)。
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賜物:青銅の細工物全般に通じ、「知恵・英知・知識」に満ちていた職人。
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出エジプト記のベツァルエルと同様、「神の霊」による知恵・知識・英知を受けた者として描かれる(技術者である前に、主を恐れる者)。
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奉仕において一番大切なのは技量そのものではなく、「主を恐れる信仰」と、神から与えられた知恵に従う姿勢である。
Ⅲ.ヒラムが造った三つの主要な器具
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青銅の二本の柱(ヤキンとボアズ)
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屋根を支えるためではなく、象徴的に入口に立つ二本の柱。
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名称の意味:「彼は建てる(設立する)」「力をもって」という含みがあり、「主が力をもってこの宮と国を建てる」との信仰告白を表している。
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「海」と呼ばれる大きな水槽
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多量の水をたたえ、祭司が身を清めるために用いられる洗いの場所。
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十二頭の牛の像の上に据えられ、十二部族を象徴していると考えられる。
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十個の台とその上の洗盤
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生け贄として捧げられる家畜を洗い清めるための水が入っていた。
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数が十個であることから、多くの献げ物に対応する実務的設備であったことが分かる。
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Ⅳ.異文化と神殿:受け入れと「意味の洗い直し」
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ヒラムはツロの異邦人であり、彼の建築様式(入口の二本柱のスタイルなど)はフェニキアの神殿建築に見られるものと言われる。
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装飾や形状にも異教世界由来と思われる要素が含まれているが、それらは今や偶像のためではなく、イスラエルの神への礼拝のために用いられている。
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異文化的な要素を単に排除するのではなく、「神のために用いる」「新しい意味を与えられる」形で受容している点が強調される。
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現代への適用:外国人・異文化を「違う」という理由だけで退けるのではなく、受け入れを通して視野が広げられ、世界宣教への関心も呼び起こされる。
Ⅴ.ヒラムの働きと私たちの奉仕
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記事では「彼は…造った」という主語が繰り返され、ヒラムが責任者として膨大な工事を一つ一つ仕上げていった姿が浮かぶ。
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柱、海、十の台と洗盤など、非常に大掛かりな青銅細工を「コツコツと丁寧に」成し遂げている。
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私たちの教会生活にも、掃除、庭の整備、料理、印刷物配布、備品補充など、目立たないが欠かせない奉仕が多くある。
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どんな小さな奉仕も、「神殿を建てる」一部として主にささげる時、神が見て喜び、教会は建て上げられる。
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ポイント:
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主を恐れてなす奉仕であること。
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与えられた持ち場を忠実に、丁寧に続けること。
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それが神の栄光を現し、教会に主の臨在が現れる道となる。
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Ⅵ.今日の適用(聞き手への問いかけ)
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自分に与えられている「知恵・英知・知識」や賜物は何か。
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それを「神殿を建てる働き」として、どこで・どのように用いているか。
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異文化や外国人に対して、恐れから来る拒否ではなく、福音的な歓迎と対話を選んでいるか。
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日常生活(食べる・飲む・働く・学ぶ)を、「すべて神の栄光のために」という一つの礼拝として歩んでいるか。
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