愛のうちに建てられる教会
エペソ人への手紙4章16節
先日、聖園教会の60年史を書き上げることができて、感謝しています。書き終えて思わされたこと、それは聖園教会の牧師になれて本当によかった、ということです。歴史を学ぶ時にその感謝は深められます。神が聖園教会を導いて来られたこと、数々のみわざをなされたことが歴史を振り返る時によくわかるからです。 さらにもう一つ教えられたことがあります。それは小林鏡子先生と軍地光子先生はずっと教会を建て上げることを目指していたということです。鏡子先生は新会堂を建設する際に「私は会堂を建てるだけでなく、教会を建てたいんだ」と話しておられたとのこと。鏡子先生がそう語られる時の「教会」とは、どのような意味でしょうか。その答えが今日、与えられているエペソ人への手紙のみことばに示されていると思います。
【1】 愛のうちに建てられる教会 エペソ4章16節にて「からだ全体は、愛のうちに建てられる」と記されています。からだ全体とは、「キリストのからだ」としての教会を表しています。教会の特徴は「愛のうちに建てられる」ということです。 教会の成長は、どのような基準で測られるでしょうか。教会の人数や規模が増えることではありません。組織として整えられることも大事ですが、それも一番重要なことではありません。教会の成長は愛のうちに建てられているかどうかで判断されます。それが教会の成長を測るバロメーターなのです。 60年の歴史を経て、私たちの教会はどれだけ愛のうちに成長できたでしょうか。私たちは是非これからも、愛の内に建てられていくことを目指したいと思います。
【2】 全体としての成長 それでは教会はどのようにして愛のうちに建てられていくのでしょうか。今日のみことばの中に二つのことが記されています。それは愛における全体としての成長と、個人としての成長です。まず教会は、あらゆる節々を支えとして組み合わされたり、つなぎ合わされたりしながら、全体として成長していくことがわかります。 「節々」と訳されていることばは二つのものが接したり、結合したりする部分を表しています。ですから「つなぎ目」「結び目」「関節」などと訳されたりします。その節々を支えとして組み合わされたり、つなぎ合わされたりすることで教会は全体として成長していきます。そこには交わりがあり、分かち合いがあり、担い合いがあることがわかります。私たちは神の家族に属する兄弟姉妹です。そこで出会った人々と祈り合ったり、分かち合ったり、協力し合ったり、重荷を担い合ったりすることによって教会は整えられていくのです。
【3】 個人としての成長 同時に個人としての成長も求められていることがわかります。それぞれの部分がその分に応じて働くことによって、からだ全体は成長していきます。「からだ全体」も大事ですが、「それぞれの部分」も大事なのです。 それぞれに与えられている分があります。各自に与えられている賜物だけでなく、一人ひとりに神が与えられているつとめがあり、役割があります。その自分に与えられている分を、神との関係によって自覚していることが私たちの成長であり、教会全体の成長にもつながります。よって神との関係の中で自分をよく知っていること、御前で整えられていることが大事です。
【4】 キリストによって しかし、それらに勝って私たちがよく覚えていなければならないことがあります。それは最終的に教会は、キリストによって愛のうちに建てられていく、ということです。「キリストによって」ということばがもしなかったならば、このみことばは成立しませんでした。「キリストによって」私たちは初めて個人としても、教会としても愛のうちに成長できるのです。もしキリストに対する信頼がなくて、自分の力によって教会を築こうとするならば、教会はすぐにでも歪んでしまい、崩壊してしまいます。 私たちは実は組み合わされたり、つなぎ合わされたりすることが苦手です。私たちは皆自己中心で、結局は自分の思いを貫きたいだけだからです。もしみことばの導きの中で組み合わされたり、つなぎ合わされたりする時に、私たちは互いに組み合うことのできない自分自身を、愛において乏しい自分を教えられることでしょう。 でも、そこで悔い改め、神にすがり、キリストによって整えられる恵みを体験するならば、その時、私たちは互いに組み合うことの素晴らしさを体験で教えられます。自我を貫いた上での表面的な交わりではなく、キリストによって赦され、 キリストを共有するキリスト者の交わりの素晴らしさを教えられるのです。そのようにして教会はキリストによって愛のうちに建てられていくのです。 兄弟姉妹の間ですれ違いが生じたり、教会に不一致が生じて混乱したりすると、私たちは落胆するかもしれません。でもそれは主が私たちを成長に導いてくださる時です。私たちが愛のうちに成長できるチャンスです。私たちはこれからも愛のうちに建てられる教会を目指していきましょう。