イエス・キリストをより良く知るために

古代教父たちの活躍

 
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若井 和生師
若井和生牧師:飯能キリスト聖園教会牧師 この記事は、サイト管理者(solomonyk)の責任において、毎聖日ごとの礼拝メッセージを書き起こし、師の許可を得て掲載しております。
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・3~5世紀にかけて多くの教父と呼ばれる教会のリーダーたちが現れ、聖書の正しい理解を確保するために戦つた。
・エイレナイオス、クレメンス、ティルトウリアヌス、オリゲネス、アンブロシウス、クリュソスモスなどの名前をあげることができるが、その中でアタナシウスとアウグスチヌスが、最も重要は働きをしたと考えられる。

1.アタナシウス(296年頃~373年)

・アレクサンドリアの主教。生涯をアリウス派との闘争にささげ、ニケーア信条の確立に尽力した。独力で当時の教会を、異端的合理主義の混乱から救つた。

(1)アリウス派の主張

・迫害が止んで自由な神学論争が可能になつた。その最大なものはアリウス派と呼ばれるグループとの論争だった。
・アリウス:アレクサンドリヤの教区の一つバウカリスの首席長老で雄弁な説教家だつた。
・父なる神だけが本当の神であり、御子は本質的に父なる神と異なると主張した。
・子は父の下位にあり、父とは本質が違い、永遠でもなく、同等でもなく、同質でもない。
・父は永遠であり創造者であるが、子には初めがあり、神の意志によつて無より造られた。
・人類の贖い主としてのキリストの立場を否定。
・アリウス派は急速に信者を増やし、正統派司教たちの脅威となつた。

(2)ニケーア公会議

・325年、コンスタンチヌス帝がニケーア公会議を招集。約300名の司教が集合した。(最初の国際会議、参加者の多くはアリウス派の多い東方からの参加だった)。
・父と子を同質(ホモウシオス)と宣言するニカヤ信条を承認し、アリウス派は異端視され職務から追放された。
・対立はこれで収まることなく激化し、その後長い問継続された。
・アリウス派は「ホモウシオス」に反対し、父と子の関係を「類似した本質(ホモイウシオス)」と主張した。
・皇帝がどちらの立場を重んじるかによつて、立場が何度も逆転した。

(3)アタナシウスの登場と活躍

・アレクサンドリアの主教アレクソンドロスに師事し、若くしてニケーア公会議に参カロした。
・アリウス主義に反対し、三位一体の正統教理を確立する上で大きな貢献をした。
・アタナシウスの主張:御子と父とはホモウシオス(同質)であるが、他の被造物とは異質、子は生まれた者ではあるが造られた者ではない。

・受肉(神が人となられたこと)が人類の歴史とキリスト教信仰にとつての中心であることを主張した。
・後年、聖霊をも加えた三位の神性の同一を強調し、その思想は正統派神学の主流となつた。
・死ぬまでに5回、通算17年の追放や逃亡を経験した。アリウス主義に対する闘いに最終的勝利を見ることはなかつた。

(4)その後の公会議

・381年 コンスタンチノープル公会議
ニケーア信条を再確認し、聖霊に関する声明を新たに加え、帝国におけるアリウス主義の終局を示す場となつた。
・431年 エペソ公会議
キリストは神そのものではなく、神を担う者であると主張するネストリウス派(キリストは完全な人間であり、道徳的に神とつながつているだけ、と主張)を異端とした。
・451年 カルケドン会議
キリストは完全な神であり、かつ人としても完全であるとするカルケドン信条が採択され、この論争に関する決着がなされた。(キリストの神性を重んじ、人性を軽んじるエウチューケス派の主張を排除)

この当時、神、キリスト、聖霊の神を信じる三位一体の教理は確立されていなかつた。キリストの神性を否定するアリウス派、ネストリウス派、キリストの人性を軽んじるエウチューケス派などとの対決を通して、教会は神であり人であるキリストの二性、三位一体の教理を確立していった。

2.アウグスチヌス(354~430年)

。ヒッポの司教で西洋古代最大の教父。

(1)回心

。354年、北アフリカのヌミディア地方のタガステ(現在のアルジェリア)に生まれる。
・母モニカからキリスト教信仰を学ぶが、カルタゴに出て様々な遍歴を重ねる。「暗い情欲に満ちた生活」を経験する。
・マニ教に入信し、マニ教の信者として9年間過ごす。
・ローマに行つてギリシャ哲学の新プラトン主義の影響を受ける。
・ミラノに修辞学の教師として行き、アンブロシウスに導かれ、洗礼志願者となる。
・387年に「取りて読め」との子どもたちの声を聞き、ローマ13章13~14節のみことばを読んで回心に導かれる。翌年アンブロシウスから息子とともに洗礼を受ける。
・391年ヒッポの司教に選ばれ、説教や礼典執行を行い、正統信仰を守るための論争から多くの著作を生み出した。
・自叙伝『告白(録)』を執筆。「あなたはわれわれを、あなたご自身のために創りたまいました。そしてわれわれの心はあなたのなかで憩うまでは安んずることがないのであります。」

(2)ペラギウス主義との対決

・ペラギウス:イギリスの修道士。原罪説を否定し、自由意志を強調したためにカルタゴ会議をはじめとする諸会議で異端とされた。
・アウグスチヌスとの論戦では、すべてを神にゆだねる態度が人間の道徳的責任を回避し、人間を道徳的に怠慢にし、腐敗させる恐れがあるという点を攻撃。人間には善も悪も行い得る自由意志があると主張した。

(アウグスチヌスの主張〉
。人間の意志は自分の力ではいかなる善をも意志できない。神の恩恵なしには、人間はただ一つの善をもなし得ない。
・人間のなし得ることは、ひたすら神のあわれみにすがること。徹底的に、かつ根源的に神の恩恵が先立つ。人間の自由意志に先立つ神の絶対的主権による恵みを強調した。

(3)『神の国(神の都)』にて歴史哲学を展開

・410年の西ゴート族のローマ侵入はキリスト教の責任ではないことを論証するために『神の国』を記した。
・神の国vs。地上の国。「神を愛し、自己をさげすむ愛の国」と「自己を愛し、神をさげすむ愛の国」の二つの国が存在し、両者は対立していると主張した。
・神は歴史における主権者であるとし、すべての存在は、神の意志と行動の結果であるとする歴史哲学を展開した。
・「歴史の終局と目標は、歴史の外に永遠の神の御手のうちにある」と主張し、神の国の最終的勝利を説いた。

(4)母モニカの影響

・アウグスチヌスは「今日わたしがあるのは、ひとえに母のおかげである」と書き残し、母モニカの存在と祈りに感謝している。後に偉大な教父であり神学者となつたアウグスチヌスの回心のためにモニカは日々、祈り続けた。
・アウグスチヌスの青年時代の回顧:

「実にそれからおよそ9年間にわたり、わたしはあの「深い泥沼」と虚偽の暗闇の中で、しばしば這い上がろうと努めては、ますます深くのめりこみながら、転げまわっていました。他方、あなたの愛される貞潔、敬虔、思慮という徳を備えたあの寡婦は、すでに希望によって以前よりは確かに元気になっていましたが、それでもなお、悩み悲しむことを忘れず、あらゆる祈りの中であなたに向かぃ、わたしのために嘆き訴え続けていました。それでもあなたは、わたしが依然としてあの闇の中で転げ口ったり、深くのめりこんだりするのを、放置されました。(『告白録』第3春第11章)」

・モニカがアウグスチヌスの件で司教に相談に行つた際、司教が答えたとされることば:

「息子さんをそのままにしておきなさい。ただ、彼のためにひたすら主に祈りなさい。彼は学びを続けているうちに、自らそれがいかに誤りであるか、そこにいかに多〈の不敬虔があるかに気づくでしょうから。…このような涙の子が減びるはずはありません。」

このことばを、モニカは「あたかも天から響いてきたかのように受け取つた」。(『告白録』第3巻第12章)

。モニカとアウグスチヌスの対話:

「息子よ、わたしに関して言えば、わたしはこのせではもはや何物にも喜びを感じません。この世でなお何をなすか、すでにこの世の望みは実現したので、何のためにこの世にあるのか、わたしには分かりません。この世で生きて暫くは死なないでいたい、そのために望んでいた一つのことがありました。それはわたしが死ぬ前にカドリックの信者であるあなたを見たい、ということでした。わたしの神がこの望みをわたしにとり十二分に遂げてくれましたので、すでに地上の幸福を蔑み、神のしもべとなっているあなたを見ています。なおこの世でわたしに何かすることがあるでしょうか。(『告白録』第9春第10章)」

・この対話の5日後にモニカは床に伏し、そのまま召されていつた。
・回心後のアウグスチヌスは北アフリカにて母モニカとの共同生活を計画していたが、その矢先にモニカを失い、悲しみに暮れた。その後、二年間のローマでの滞在を経て、アフリカに戻つた。その後ヒッポの司教となり、教会の指導者として活躍した。

・476年にローマ帝国は滅亡し、当時のヨーロッパは大混乱に陥つた。しかしその際、人々が頼りにしたのは教会だつた。教会が、混乱と恐怖に陥る当時のコーロッパの人々の救いとなり精神的支えとなつた。アタナシウスやアウグスチヌスら教父たちが、その時のための精神的、霊的、信仰的備えをあらかじめ築いていたことがわかる。

 

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